LINEを活用した企業・自治体での相談窓口事例 ポイントは半自動化

LINEを活用した企業・自治体での相談窓口事例 ポイントは半自動化

目次

  • LINEを活用した相談窓口が企業・自治体で急速に浸透中
  • LINE相談窓口の企業・自治体での活用事例
  • LINE相談窓口の活用効果をそれぞれ紹介
  • こんな活用も可能では?LINE相談の活用アイデア
  • LINEを活用した相談窓口が企業・自治体で急速に浸透中

    昨今、大きな社会問題となっているいじめ問題。これに対応するべく、全国の自治体で、LINEなどのSNSを利用した相談窓口を設ける動きが急速に広まっています。

    朝日新聞が2018年7~8月に行った調査によると、LINEなどによる相談窓口をすでに設置している、もしくは検討している自治体は全部で34件にも上ったということです。

    参考:朝日新聞デジタル:子どもの相談窓口、34自治体SNS導入 朝日新聞調査
    https://www.asahi.com/articles/ASL887RVDL88UTIL05H.html

    そのほか、LINEの相談窓口は各企業でも多数設置されています。チャットボットによる自動応答システムも活用しているケースも見られ、商品やサービスに関する質問などに24時間対応してくれるという便利さです。

    スキマ時間で気軽に利用できるため、来店や電話での相談が難しい顧客層にもリーチできると期待されています。

    LINE相談窓口の企業・自治体での活用事例

    では、実際にどのような形でLINEの相談窓口が運用されているのでしょうか。自治体、企業の導入事例をそれぞれご紹介します。

    大津市の「おおつっこ相談LINE」

    滋賀県大津市では、2017年8月~2018年3月までに、試験的にLINEによる相談窓口「おおつっこ相談LINE」を開設しました。
    開始当初は対象の中学校が3校のみでしたが、2018年1月末から全市立中学校(18校)に拡大。約9,000人の生徒を対象に実施しました。

    生徒からの相談にその都度別のカウンセラーがトークメッセージにて対応する形で、相談者の悩みを傾聴し、適した相談窓口などを紹介。また、相談者からの希望があれば学校など関係機関に連絡します。

    画像引用元:http://www.city.otsu.lg.jp/bamen/sodan/21808.html

    試験運用の結果、既存の相談窓口を大きく上回る相談が寄せられました。そのため、市のいじめ対策推進室は、平成30年度は通年にわたって運用を継続する意向を示しています。

    2018年4月には、トーク画面の下部に使いやすいリッチメニューも導入。

    画像引用元:http://www.city.otsu.lg.jp/ijime_taisaku/oshirase/18611.html

    カウンセラーへの相談、各相談窓口の紹介、Q&Aなどの機能にワンタッチでアクセスすることができます。

    ライフネット生命保険の保険診断・見積もり


    画像引用元:https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/data/rel180810d2.pdf

    ライフネット生命保険株式会社では、チャットボットによる自動応答を利用したLINEやFacebook Messenger上での保険診断・保険料見積もりサービスを提供しています。

    米国のReply, Inc.が開発するbot構築・運用管理プラットフォーム「Reply.ai」を使用し、チャットボットを運用。

    生年月日や性別、住所などの情報をメッセージで送ると、チャットボットが保険料の見積もりをしてくれます。必要に応じて保険プランナーによる有人対応に切り替えることも可能です。


    画像引用元:https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/data/rel180810d2.pdf

    また、夫婦一緒に保険相談がしたいなどのニーズに応えるべく、グループトーク機能も導入しました。
    保険に関するよくある疑問にも、24時間チャットボットが自動応答。保険プランナーの対応時間外でも気軽に相談することができます。

    LINE相談窓口の活用効果をそれぞれ紹介

    上でご紹介した事例では、LINEの相談窓口を設けたことでどのような効果があったのでしょうか。それぞれご紹介していきます。

    大津市での活用効果

    大津市のLINE相談窓口の試験運用では、2017年8月~2018年3月の5ヵ月間で相談者数は37人、対応回数は全部で67回。また2018年3月31日時点で、友だち登録者数は129人ということです。

    開始当初は対象が私立中学3校のみでしたが、これがもともと全市立中学18校だった場合、対応回数はのべ167回になると試算されています。
    電話など既存の相談窓口では、同期間の相談対応回数は56回だったため、約3倍の相談が寄せられることになります。

    また、運用期間中の新規の相談者数を見てみると、LINE相談窓口では37人だったのに対し既存窓口は8人にとどまっています。LINE相談窓口のほうが約5倍も多い結果です。

    参考:大津市:平成29年度 大津市LINEを利用したいじめ等に関する相談受付に係る検証会議報告書概要版
    http://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/225/houkokusyogaiyoubann.pdf

    さらに、「LINEでの相談がきっかけで初めて身近な人に相談できた」というケースも7件見られました。周囲の人へ相談するよりも先にLINEの相談窓口を利用している場合もあり、早い段階で子どもたちに活用されていることがわかります。

    参考:大津市:LINEの相談窓口としての特徴と有効性
    http://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/225/houkokusyo3.pdf

    このような結果から、LINEでの相談は中学生にとってハードルが低く、既存の窓口よりも気軽に利用しやすいと言えるでしょう。既存の電話窓口などではカバーしきれていなかった生徒の悩みを、着実に拾い上げてケアすることができるのです。

    ライフネット生命保険での活用効果

    ライフネット生命生命保険では、保険相談にチャットボットの自動応答システム導入した結果、LINE経由での見積もり件数が約1.5倍にアップしたということです。

    若年層の保険加入率は年々低下しており、ライフネット生命保険でも電話での相談窓口の利用者層は40代以上が約6割と、若い世代のユーザーが少ない状態でした。

    しかし、LINE相談窓口の利用者は20~30代が約8割という結果に。利用時間は通勤時間や昼休憩などが多く、働く世代でもスキマ時間に積極的に利用していることがわかります。

    小さな子どもがいて保険相談の時間がとれない女性でも、家でスキマ時間に利用できると好評です。相談した内容がメッセージですべて記録されるため、家族と後で情報を共有できる点もユーザーから評価されています。

    また、LINEによる顧客対応サービスが評価され、平成29年度のカスタマーサポート表彰制度で奨励賞を受賞しています。カスタマーサポート表彰制度は、公益社団法人企業情報化協会が運営する、顧客満足度のアップや課題解決に寄与した企業・団体を評価するものです。

    こんな活用も可能では?LINE相談の活用アイデア

    現時点で導入事例はないものの、LINEでの相談窓口を活用できそうなケースをご紹介します。

    内閣府の「DV相談ナビ」にLINE相談を活用

    内閣府男女共同参画局では、配偶者からのDVに悩む人へ適した相談機関を紹介する「DV相談ナビ」サービスを実施しています。
    こちらは電話のみでの相談受付となっていますが、LINEによる相談窓口を設置すればより認知度が上がり、DV被害者への早期のサポートが可能となるでしょう。

    最近では、妻など女性側からのDV被害を受けている男性も増えています。男性がDVを受けている場合、恥ずかしさなどから周囲へなかなか相談できないケースが多いです。

    このような場合でも、LINEでの相談であればハードルが低く利用しやすくなると予想できます。

    LINEトークメッセージでの愚痴聞きサービス

    現在、電話やLINE・Skypeの通話機能を利用した愚痴聞きサービスは多数存在していますが、LINEのトークメッセージを介したタイプはまだないようです。

    電話が苦手な人、いつも周りに家族がいて電話しづらい人にとっては、LINEで相談できるところがあると大変助かるでしょう。
    若年層の利用者も取り込むことができるため、売り上げアップの効果も狙えます。

    ユーザーの希望にあわせて、チャットボットによる自動応答と有人対応に切り替えられても面白そうです。